自律神経とは?
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自律神経とは?自律神経のはたらき
自律神経とは交感神経と副交感神経に分けられ、身体を活動モードにさせる「交感神経」と、リラックス・回復モードにする「副交感神経」があります。このふたつは状況に応じてどちらかが優位になり、身体のあらゆる機能をコントロールしています。
自律神経は私たちが意識的に動かしているわけではなく、内外からの情報や刺激に対して自動的に反応する神経で、本人の意思に関係なく無意識のうちに体内を調整し、維持しています。自律神経のはたらきを具体的に見ていくと多岐にわたり、呼吸・血液循環・体温調節・消化・排泄・生殖・免疫などの機能を調節しています。
交感神経とは
日中やお仕事時、スポーツをする際などは血液循環や代謝を上げて活動性を高めます。交感神経が優位になると、頭も冴え、感情がたかぶり、心臓の拍動数が速くなり、汗が分泌されるなどの身体の反応があります。
副交感神経とは
副交感神経はからだ各部分の活動性を下げ回復や修復のために働きます。食事中や食後、入浴中、寝ている時、心身ともにリラックスしているときは副交感神経が優位になり、血圧も下がり、心拍数は減少し、消化吸収や回復が優先されています。消化吸収や回復が優先されておこなわれることで栄養が全身へ行き届き、また不要な物質も回収されるので、寝ている間に1日の疲労が回復され、寝起きまでに元気な状態に元に戻ります。
自律神経のバランスが崩れてしまうのはどんな時?
通常であれば身体は相当なストレスに耐えられるようにできています。しかし限度を超えたストレスやプレッシャー、疲労、不規則な生活、睡眠不足、長期的な緊張状態にみまわれると自律神経の乱れが生じ、交感神経が過度に優位になります。そうなると脈拍や血圧が変動したり、動悸、息切れ、頭痛、肩こり、吐き気、多汗などの症状が出てきてしまったり、更には副交感神経の働きを抑制してしまうことから眠れない、疲れがとれない、食欲低下、便秘下痢など様々な症状にに繋がります。さらに長期化すると運動機能が落ちたり、免疫や代謝機能が低下していきます。
自律神経のバランスが崩れると現れる不調や症状
不規則な生活習慣や過度なストレスなどにより自律神経バランスが崩れてしまうと身体や心に様々な不調・症状が現れます。この状態を自律神経失調症と言います。
自律神経失調症として現れる主な不調や症状として一例を挙げると、頭痛・耳鳴り・疲れ目・動悸・息切れ・手足のしびれや痛み・胃の不快感や吐き気・下痢・便秘・肩こり・筋肉の痛み・生理不順・早漏・射精不能……こんなにたくさんの症状が、単独あるいは複数重なって現われてしまうのです。そのほかに、全身症状として、めまい・微熱が続く・倦怠感・疲れやすい・フラフラして力が入らない・ほてり・食欲がない・睡眠障害(安眠できない)・朝、起きるのがつらい、などがみられます。また、精神症状として、イライラする・怒りっぽくなる・不安感や恐怖心におそわれる・記憶力や集中力の低下・やる気が出ない・すぐに悲しくなって落ち込む、などがあります。
自律神経失調症の東洋医学の考え方
東洋医学での解釈
五臓のはたらき
東洋医学では、からだのはたらきを大きく5つに分類したものを五臓といい、肝・心・脾・肺・腎に分類されます。五臓はお互いに支え合ったり、コントロールし合ってバランスを保っています。自律神経をつかさどる「肝」のはたらきが乱れると、自律神経失調症といった不調が起こると考えられています。
肝と自律神経
五臓の中で自律神経をつかさどる「肝」のはたらきが乱れると、自律神経失調症といった不調が起こると考えられています。五臓は七情と呼ばれる「怒・喜・思・憂・悲・恐・驚」の感情を過度に感じると、傷めてしまうのですが「肝」はストレスによるイライラ、激しい怒り、緊張、思い通りにならない不満などによって「怒」を過度に感じたり、その状態が長期化してしまうとダメージを受けてしまいます。また感情以外にも季節の変わり目や環境の変化といった外的要因、身体の負担や栄養不足、睡眠不足などの内的要因からも「肝」の働きは乱れます。
肝 | 心 | 脾 | 肺 | 腎 |
怒 | 喜 | 思 | 憂・悲 | 恐・驚 |
気血水
東洋医学では人の身体は「気血水」という3つの要素で構成されると考えます。
「気」は温め、代謝の力を生み五臓を動かす、身体の根源となるエネルギー。「血」はいわゆる血液のことで全身に栄養や酸素を運びます。「水」は血以外の体液のことで免疫に大きな関わりがあります。「気」によって「血」と「水」は全身を巡り、「血」が全身に栄養を届けています。
気血水と自律神経
肝が傷み「気」の巡りが悪くなると、温めたり代謝したりする身体のはたらきも悪くなり、本来保たれているはずの身体全体のバランスが崩れます。また考え事や睡眠不足などで「血」が消耗しすぎると、精神不安や不眠を促してしまいます。また「気」の流れが悪くなると、全身への「血」「水」の巡りも悪くなり、栄養が行き渡らなくなってしまったり、余分な水分が体内に停滞した状態となり、重だるさが続いてしまいます。
自律神経を整える東洋医学的治療法とは?
鍼灸治療で自律神経を整えることができます
鍼灸治療には自律神経を整える作用があります。自律神経と整えるといっても様々なアプローチがあり、肝や気血水のバランスを整えたり、呼吸に関係する筋肉の緊張をとり深い呼吸ができるようにしたり、内臓の働きの特に消化吸収が促されるように施術をします。具体的には、患者様それぞれの凝りや、皮膚に出ている反応を触診しながら探っていき、自律神経や内臓に関連するツボ、過緊張または働きが停滞している部位、気血水の巡りを整えるツボをとらえます。その方の治療点を見つけられたら、そこへ鍼を刺したり、低周波の電気を流したり、マッサージ刺激を与えながら整えます。交感神経が継続的に優位になってしまっている方がほとんどなので、交感神経の働きを抑え、副交感神経への切り替え上手にいくように調整していきます。
自律神経の乱れは様々な不調を引き起こしてしまいますが、逆にいうと、自律神経を整えることで身体に出ている多くの不調を一気に改善へ導くことができるのです。鍼灸で自律神経を整えて、健やかな毎日を目指しましょう。