日本では成人の5人に1人が睡眠の問題で悩んでいる
日本においては、成人の5人に1人が、また60歳以上の方では3人に1人が睡眠の問題で悩んでいるといわれています。そのような方の主な訴えは睡眠の量と質の不満足で、生活リズムの乱れ、ストレス、スマホ・PCの普及、加齢などの様々な理由で、① 寝つきが悪い(入眠困難:ベッドに入ってから寝付くまでに30分以上かかる)、② 夜中に何度も目が覚める(中途覚醒:夜中に30分以上目が覚める)、③ 早朝に起きてしまう(早朝覚醒)、ということが引き起こされます。良質で十分な睡眠(6時間30分以上)が不足すると、日中の眠気に悩まされるだけでなく、集中力・記憶力・判断力の低下や疲労感が取れないなど、日常生活や仕事に悪影響を及ぼします。
睡眠改善の標準治療は?
睡眠に問題のある方への標準治療としては、現在、薬物療法と非薬物療法があります。
薬物療法として有用性が確認されている医薬品は多く存在し、医師の診断のもと個々の患者さんにより適切と考えられる薬剤が処方されています。一方で、薬剤によっては依存性、耐性発現(薬が効きにくくなる)、薬剤中止による反跳性不眠(不眠症状が再発する)、持ち越し効果(運転など翌日の活動に影響する)といった副作用を生じることがあるという課題があり、これらを改善した薬剤が今なお求められています。
非薬物療法の標準治療としては、認知行動療法(睡眠日誌などを活用して生活習慣等を改善する)、刺激制御療法(決められた睡眠パターンを徹底する)、リラクゼーション法、及び鍼治療など様々な方法があります。
鍼治療の有用性
この中でも鍼治療は古代から不眠症患者に対して長年使用されており、安全性が確立しています。鍼治療は特異的なツボに細い鍼を打つことによって体と生理的機能のバランスを保つことから、自然な睡眠・覚醒サイクルに影響を及ぼさないと考えられています。科学的にはセロトニン(精神を安定させる神経伝達物質)とアミノ酪酸(脳の興奮を抑える働きをもつ神経伝達物質)を増加させ、グルタミン酸(興奮性の神経伝達物質)を減少させると報告されています。また、不眠症患者を対象とした臨床試験において睡眠の質と精神的な健康状態を改善したという論文が信頼性の高い英文医学誌で発表されています。
良質で十分な睡眠が取れていないと悩まれている方には、美容鍼快眠ラボの「鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の国家資格を有する施術者」による快眠トリートメントを推奨します。
【参考文献】 DSM-5: American Psychiatric Publishing 2013 Zhongguo Zhen Jiu Chin Acupunct Moxibustion 2014;34:1165-8 Sci Rep 2015;5:9490 Sleep Med 2017;37:193-200
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